粗筋

爆弾魔が悪名を轟かす街ニューヨーク。場末のバーでバーテンと客が賭けを始めた。相手が唖然とする話が出来たら勝ち、というもの。客が話を始める。その後に待ち受けるものにまだ気づかないまま…。

感想

 惜しい!実に惜しい!
 原作はハインライン。夏への扉、月は無慈悲な夜の女王などが有名。
 監督はピーター&マイケル・スピエリッグ兄弟。デイブレイカーという映画で従来マイノリティーである筈の吸血鬼をマジョリティーにし、あまつさえ食糧問題を描いて見せた監督だ。

 ネタばれをしてしまえば「自己完結型のタイムトラベル譚」である。自分の行動が自分の過去に影響をもたらし、それが現在の自分の礎となる。余談だが私は高橋克彦という作家の作品でこの概念に触れた。何が惜しいかというと、その「ネタ」が割れてからが尻すぼみなのである。ネタバレが速すぎる。
 だが単なる設定SFものと軌を逸にするところはある。この監督は妙にディティールの表現に凝るところがある。先に上げたデイブレイカーでも、ヴァンパイアの生態、社会構造、生き延びた人間のコミュニティーなど、話の本筋とは違うところで妙に、面白さを感じるのだ。それは今作でも余すところなくいかされている。バーでの2人の打ち解けあいの言葉の応酬、時空警察の描写、宇宙飛行士の性処理係の選抜試験、キータームの伏線としての配置。そのどれもが、心地よい。
場面場面を作るのは上手いので、全体構成能力がこれから上がっていくことを期待。

コメント

tyler
2015年3月2日10:48

これはそもそもこの原作が扱いづらいものだからようやったよね

マイコロス
2015年3月3日11:48

たった20ページ程度の短編ですからなあ。
短編映画化というと、どうしてもディックの記憶売りますとか小数報告の映画化を思いがちですが、アクションじゃんじゃんばりばりじゃなくても長編映画化されるとこう、胸が熱くなりますね。

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