粗筋

ナノハザード発生後の未来。人類の大部分はディーバと呼ばれる宇宙コロニー内で電子化され、ごくわずかの肉体を有した旧人類は地球で後退した文明を引き図云って生きていた。ある時期を境にフロンティアセッターを名乗る者からのハッキング事件が頻発。発信源が地球にあると判明し、担当官のアンジェラはガイドのディンゴと共に解決に乗り出すこととなる。

感想

良い意味で電脳系の設定が強く生きてない。良い意味でね。

 映像の方に先に言及すると、このアニメ映画は3DCGの技術で「如何に2Dアニメを作れるか」を志向した作品。ピクサーやディズニーが過去陥った「不気味の谷現象」を回避できるのは利点だと思う。(ざっくばらんに云うと、リアルに近づくにつれ、「非人間性」に意識が行って気持ち悪くなる状態。PS2時代のゲームのCG映像とか、なんか気持ち悪いじゃん?) 3Dのアクションは兎角くどくなるのが定例だけれども、今作は緩急がはっきりしていたのもポイント。「止まるところは止まる」。これってCGアニメでは稀有だよ。
 それでは内容へ。
 物語の出だしは典型的なサイバーSFの様相を呈している。肉体を捨てた新人類は感覚の束縛から解き放たれ、旧人類は未だ病気などの苦しみに囚われている。グレッグイーガンを彷彿とさせる階層社会の中で、成長した筈の新人類の一員たる主人公が旧人類との交流を通じて身体性(人間性)を回復していく。
 ところが中盤から捉え方が変化する。遥かに進歩した筈のディーバ内においては量に限りのある「メモリ」を如何に獲得するかに人々が躍起になり、自分の有用性を証明すべく出世合戦に血眼になっているというのだ。電脳系かと思いきや、資本主義批判の作品へと様変わりする。これが観客に受け入れられるのも若者の貧困化が叫ばれるようになったからか。
 もう一つの観方として、命、自我の描写が生・非生(≒フロンティアセッター)の2軸であり、生・死ではないのもなかなかに新鮮。電脳系としては兎角肉体を有することの最大の利点を次代の創造とするのが常道ではある。ところが今作はそれを描かない。生物の終焉たる死は描写されず(後半のアクションシーンでも「死」として描写されない。恐怖表現、怪我を描かないからこそ死への過程が想像できないようにされているのだ)、次代の創造(、要は性要素)が抜け落ちている。アンジェラのキャラデザはロリボインであり全編に渡りケツアニメなのだが、セックス・出産は何ら示唆されない。(悪漢が少女を囲んで只ナイフで刺しに来る展開など却って非現実的にさえ映る)「デモリションマン」のバーチャルセックス(基いリアルセックスへの回帰)と対比するとそのプレーンさが際立つ。
 総括するに、電脳系で従来描く強みのあるものを敢えて描いていないように見える。その新たな試みにあっても十分面白く感じられるところからも、地力の高さが感じられた。
 まあ萌えですよ!燃え!かわかわどどどバキューン!!ロボ×少女!



コメント

tyler
2015年1月9日14:08

観てる本数は多いのに、劇場に行ってない……。単館作品は都内でないと結構厳しいものもあるから住んでる場所によっては大変だな。日本は映画発展途上だから、哀しいことに。もっと配信系であってもいいのにね。
4Dは想ったよりもすごいかも?D-BOXとかいうのはちょい酔う。そろそろ次世代IMAXも日本に上陸するよ。ちなみに日本から一番近いフィルムIMAXは多分香港か台湾だから旅行いったら是非wかくいう俺も一回しか体験したことないけど全然ちがってビックリするはず

マイコロス
2015年1月11日20:58

単館系は大都市近くないとねえ。地域によって公開時期が大幅にずれる映画もあるし。

4Dはとりま行かせてもらおうと思います。

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