粗筋

去年の夏にめんまを成仏させた5人がまた集まって、手紙を書いてお焚きあげ供養する話。

感想

余りにも駄作。映画単体でではなく、劇場版という意味において。
えーと先ず擁護しておくと、この映画は8月末日に公開してもう1か月経つのに公開は終わらず、興行収入が6億超えた時点で公開劇場の数を増やしたらしいです。まあそこまで支持されている映画だから見に行ったわけですが…。ええまあ、封切1か月なのにまだ劇場は4割くらいの人入りで、「これ期待できるん違うの?」と見る前はわくわくしてました。前は…。

映像の質うんぬんは抜きにして、続きものとして何がいけなかったのか列挙しましょう。

①TVシリーズ序盤にあった、主人公の社会性の再構築が全て抜け落ちていること
あの花、が(僕はそう思いませんが)名作足りえた理由として、「引きこもり学生であった主人公が、幽霊であるめんまと出会い(その幽霊が見えるのはじんたんだけ、というのは極めて重要)、それを切っ掛けに過去の友人たちと再びめぐり合い、そして社会的な関係性を修復する」というセカイ系からシャカイ系への遷移する作りだったからじゃないんですか。
めんまがじんたんにしか見えないと言うことは、まさに「キミとボクしか居ないセカイ」な訳で、その他者への非共感性はTVシリーズの序中盤での超平和バスターズの面々との衝突において見えたはずです(終盤、彼の吐露「俺にしかめんまが見えないのを内心得意げになってた」というところでもそれが分かるはず)。それが彼らと衝突し、理解し合うことで、「キミとボクの世界」から「ボクたちのシャカイ」へと輪が広がることがよかったんじゃないんですか。ただ「ボクたちお友達!」だけの話では、そこらの凡俗のティーン小説と何が違うんですかね。この社会性の獲得自体に人格の陶冶成長の要素が含まれているからこそ、そういうシャカイ系作品において主人公が成長していくカタルシスを覚える訳で。それもなしに友情シーン見せつけられるだけでは、この作品の良さは全く伝わってこないのでは。
あと単純なことなんだけど、回想シーンの半分ずっと叫ぶか泣いてるかされても冷めるんですわ。もっと比重ってものを考慮して欲しい。

②めんまの願い ~超平和バスターズはずっと仲良し、と生まれ変わりについて~
めんまの真の願いは超平和バスターズが「ずっと仲良し」であることだった。それを踏まえ、劇場版の新カットではその面々が1年後集まり、めんまへの手紙をおのおのしたためて秘密基地の前で焚きあげて天国のめんまに届ける、という後日譚が挿入された。けどこれ1年後にする必要はあったのかなあ。むしろ「1年後だけにする意味があった」のかなあ!?
仲良しである、互いを思う気持ちというのは時間を経ても色あせないからこそ素晴らしいものであるように私は思う。後日談とその後の彼らの生活を描き、その中でもめんまを、超平和バスターズの面々を思う様子を見せることで彼らの親密さを描くのは良かったが、それは1年後という設定にすべきであったのか。例えば、ラストシーンで、「来年も今日この日に皆でまた集まろうぜ」とぽっぽが言うシーンがあるが、そのようにして何年おきのスパンで描く、ということは出来なかったのか。別れから1年後、というのは極めて短いスパンであり、その時の風景を描いても彼らがずっと仲良しであることの証左にはなりえない。それよりも、5年後、10年後でも良いから、「継続的に集まり続けている、思い続けている」ことこそ、「ずっと仲良し」である証ではないだろうか。
別の映画の話になるが、友情ものの名作と言えばスタンドバイミーがある。あの映画が名画たる所以には、ラストシーン、夕暮れのストリートでわかれるシーンの後に主人公がそれぞれのキャラクターのその後の行方、顛末を話し、それ以後皆で集まることはなかった、と語るシーンにあると思う。
I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve.
Jesus, does anyone?
と彼が最後にタイプした文字にも見えるように、皆変わってしまった、それでも皆を思うことこそ永い友情ではなかろうか。それを考えると1年と言う期間は短すぎる。
そしてもう一つ、めんまのもう一つの願いである、生まれ変わるということ。めんまというのは夏の幻影が見せた集団ヒステリー、ということで済ませるなら話は別だが、少なくとも後日談を描く以上はここらへんは描けた筈なのでは。陳腐な作りになるかもしれないけど、例えば16で再び会った彼らが1年おきに会い続け、それぞれの人生をそれぞれに生きている。そして10年目、27歳になった彼らが5人で歩いて居ると10歳くらいの銀髪の少女とすれ違う、みたいな終わり方にした方がよかったのでは。
エンディングでめんまが「生まれ変わったら何になるだろう、何に生まれ変わっても良い、なぜなら超平和バスターズはずっと仲良しだから」と言ってはいるが、出来ることなら、ほんのワンショットでも良いから、再び「6人」が揃うカットが有ってほしかった。そうでなければ魂が救済されたか分からないのだから。

とまあ駄目だししてきたわけですけども、よかったところと言えばやっぱり音楽ですかね。使い方本当上手いわ。シークレットベースのサビに入るところでめんまの瞳にクローズアップして、めんまとじんたんがかくれんぼで逃げるシーンをもう一度フラッシュバックさせる辺りは、まあ泣ける人はつい泣いてしまうのではないでしょうか。僕は周りが鼻をすする音を立ててる中スタンダードのデッキ考えてました。
あとまたガリレオガリレイの曲が起用されてて嬉しかったです!青い栞も良かったですが、サークルゲームも良かったです!

結論:脚本家頭ついてなかったと違うか。
あと仮面ライダーカブトが同時上映してると聞いたのに何も流れなくて嘘情報を流したバッドアップルさんはやっぱりクソ野郎だなあと思いました。


コメント

nzm
2013年9月25日19:59

アニメ1話はホンマしびれたですよね。物語の始まりとしてはめちょ百点満点くらい

マイコロス
2013年9月26日0:24

夏のけものは家に居座り続け…

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