書楼弔堂 破曉 京極夏彦
2014年1月9日 趣味 コメント (3)
開国より20余年。
幕末の動乱は過ぎ去り、さりとて人々の開化が未だ至らぬ時分に、自由人の高遠は馴染みの本屋の丁稚より、ある古書店の噂を聴く。
古今東西の書物が集うそこで、人々は自分の1冊を見つけるのだという。
風狂の虫に誘われるままに、高遠は書楼を訪れる。そこは本屋というよりも、丘灯台ともも呼べるほどの、3階建ての建物だった。板戸は閉まり、簾が軒から下がる辺り、どう見ても本屋には見えない。簾には半紙が一枚貼られており
弔
の一文字が鮮やかに記されていた――。
「ないものをあるとしなければ、私共は立ち行きません。仮令あるものだと固く信じていたとしても
心は見せることも聞くことも嗅ぐことも触ることも出来ますまい。どこかにあると捜し求めても見付からない。此処にあると示したとて見えはしない。言葉と云う咒に置き換えなければ、ないものは示すことが出来ないのでございます」
「それは――」
「ないと知らねば、あることが示せないのでございますよ、輔様」
江戸、明治の時代を生きた著名人の虚構と現実が入り混じる。巷説シリーズから京極堂シリーズへと繋がる、新たな京極ワールド、ここに開幕。
皆買おうね!!
幕末の動乱は過ぎ去り、さりとて人々の開化が未だ至らぬ時分に、自由人の高遠は馴染みの本屋の丁稚より、ある古書店の噂を聴く。
古今東西の書物が集うそこで、人々は自分の1冊を見つけるのだという。
風狂の虫に誘われるままに、高遠は書楼を訪れる。そこは本屋というよりも、丘灯台ともも呼べるほどの、3階建ての建物だった。板戸は閉まり、簾が軒から下がる辺り、どう見ても本屋には見えない。簾には半紙が一枚貼られており
弔
の一文字が鮮やかに記されていた――。
「ないものをあるとしなければ、私共は立ち行きません。仮令あるものだと固く信じていたとしても
心は見せることも聞くことも嗅ぐことも触ることも出来ますまい。どこかにあると捜し求めても見付からない。此処にあると示したとて見えはしない。言葉と云う咒に置き換えなければ、ないものは示すことが出来ないのでございます」
「それは――」
「ないと知らねば、あることが示せないのでございますよ、輔様」
江戸、明治の時代を生きた著名人の虚構と現実が入り混じる。巷説シリーズから京極堂シリーズへと繋がる、新たな京極ワールド、ここに開幕。
皆買おうね!!
コメント
巷説と京極堂を繋ぐってことは後巷説のメンバーかなと思ったら全く新しいキャラが出てくるんですね。
登場人物みたら泉鏡花とか井上圓了とか軽く帝都物語みたいでわくわくしますね。
読もう!!!基本後巷説と京極堂本編知ってたら「おお」ってなるくらいなので、シリーズ網羅してる必要ありません!!
>bad
スゲオカと中禅寺の名前が出てくる辺りぞくぞくします。