終戦のエンペラー

粗筋
1945年8月、日本が連合国に降伏し、第2次世界大戦が終結。ダグラス・マッカーサー元帥率いるGHQが日本に置かれ、米軍統治が始まる。そんな時、日本文化を研究し、日本に対して格別な思いを抱くボナー・フェラーズ准将は、太平洋戦争の真の意味での責任者は一体誰なのかを調査するようマッカーサーから極秘に命じられ、独自に調べを開始するが……。

感想
予告よりもずっと日本寄りの映画だった。宜しい。
この映画は現代のフェラーズの軍における任務「天皇に戦争責任はあるか」について調査することと、今より10数年前に在学中に恋仲になった日本人留学生のアヤとの出会いと別れ、と2つの時間軸を交互に行き来する作りになっています。
現代においてフェラーズはマッカーサーの元で戦争責任についての調査を行い、ワシントン本部の「天皇も処刑すべき」という考えとマッカーサーの「戦後復興のためにも天皇は生かすべき」という考えの間で板挟みになりながらも、日本人の精神性から天皇が戦争においてどのような役割を果たしたか、について調べていきます。
また、過去においてアヤとの交際を通じ、彼は日本人とその国について知りました。そのことからも、彼は日本寄りの考えが出来る人間として成長し、また現代において行方不明になったアヤを探して秘密裡に彼女の安否を尋ねようとさえします。
結局のところ「天皇が戦争を指導していなかったという事実はないが、戦争を終える上で極めて重要な役割を果たした、なので天皇を処刑するのは間違っている」という論点ずらしにも思える結論で以てフェラーズは天皇を生かすよう進言します。ここらあたりで日本人の精神性、本音と建て前、忠誠と服従(loyalty and obedience)などの概念が説明されます。でもここ正直はぐらかしてるだけだよなー、外国人的には納得できないだろうなー、とは思いました。

まあ、日本人なら「なんか深イイ話」くらいには感じるんじゃない?世界的には興行が成功するとは思えんがね。


ジャッカルの日
粗筋
1960年代始めのフランスでシャルル・ド・ゴール大統領暗殺を企てるテロリストグループ「OAS」が接触した、プロフェッショナル暗殺者についてのスリラー小説の映画化。

感想
暗殺者もののサスペンス映画の傑作中の傑作。
暗殺者ジャッカルとそれを追うフランス政府との追想劇を描いた本作。
物語はOASの自前の大統領襲撃が失敗したところから始まり、ジャッカルに接触してドゴールの暗殺を頼むところから物語が動き出す。
ジャッカルは偽の旅券証、身分証明書を作り、国境でのチェックをすり抜ける狙撃銃の密造など準備を整えたのち、巧みにフランス国内に侵入する。一方OASの不穏な動きを察知したフランス政府はOASの重役の一人を拉致尋問した結果大統領暗殺が企てられていることを知り、入念な包囲網を敷いたのち、ジャッカル追跡にかかる。最初は彼らの間は距離が開いていたものの、情報と人員の差によってか徐々にジャッカル包囲網は縮められていったかに見えたが…。
暗殺者ものと言うと、どうしても暗殺するシーンばかりを描いた作品が多いように思うが、この映画は暗殺者ジャッカルの描写は専らその準備段階を描いたものである。しかし実に用意周到且つ、実際不測の事態に陥った時も機転を利かせて立ち回っており、不思議と惹かれるものがある。また政府の方も、探偵もののような「なんか頭いい人が頭いいことして見つけました」というバカバカしい捜査ではなく、国内外の協力を仰ぎ、理詰めで存在も不確かだったジャッカルを特定し、彼の今現在の居所までを追跡していく過程にはリアリティーを感じた。両者のこのリアリティーこそが、この映画に緊迫感を与えてくれたように思う。

良い映画です。午前10時の映画祭を開催している映画館で、ぜひどうぞ。

コメント

ざきもま
2013年8月1日0:30

エンペラー、ちょうど見たところなので参考になりました。
自分は本筋ではないですが、リクターが小物過ぎたなあと思います。

マイコロス
2013年8月1日1:22

リクターはなあ…2枚舌で功名心の塊、典型的な小物ですわ。

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