ヒューゴの不思議な発明
今日封切のハートウォーミングな映画を観てきました。

粗筋
1930年代のパリ。父親の残した壊れた機械人形とともに駅の時計塔に暮らす少年ヒューゴは、ある日、機械人形の修理に必要なハート型の鍵を持つ少女イザベルと出会い、人形に秘められた壮大な秘密をめぐって冒険に繰り出す。

感想
映画好きの大人に向ける子供映画、といったところ。少なくとも家族で見に行くような映画ではないかな。

この映画、前半と後半で話が違う。
 前半はヒューゴが機械人形の謎について、イザベルと共に探索するジュブナイル物語。後半は機械人形が明かした、ジョルジュメリエスの半生を負うストーリーへとシフトしていく。大人向け、と言ったのはここ。映画黎明期の作品の映像や、どのように映画を製作していたのかの裏舞台を丹念に映しているので映画ファンなら思わず頬が緩んでしまうような時間を堪能してもらえるだろう。その分知識のない子供にはちんぷんかんぷんになってしまう。
 前半での謎の探求は、映画という文化の素晴らしさを伝える引き立て役に過ぎない。ヒューゴと父の約束も余り作品全体を通して大きな意味を持つ訳でもないし、人と人の繋がりを強調する家族教育的な側面も薄い。「世界を修理する」というキャッチコピーから機械人形が街全体、引いては世界全体を揺るがすほどの謎を秘めているかのようにミスリーディングしてしまう人が出るかもしれない。その点ではこの映画の広報担当は首を括って死ぬべきだろうし、「ヒューゴの不思議な発明」と訳した配給会社の職員は腹を切ってしぬべきだろう。

 ただ、この映画を子供が見て学ぶことはあるだろう。それは技術の進歩、文明の発展が人の生活、こころを豊かにするものだと好意的に表現しているところだろう。ファンタズマゴリア、キネマトグラフのように人を驚かせるに過ぎなかった手品を、「映画」はその手法を受け継ぎながらもストーリーを盛り込むことにより観る者を夢と希望の世界へ誘ってくれた。
 想像とは今はまだないものを夢想することであり、それはいつか実現する。人類が月に行ったことはもう子供ですら知っている。昔の人々が夢に過ぎないと思っていたことは既に現実のもになった。技術が、科学が、文明が進化していくことは、想像を創造に変えるものだということ。そしてその過程というのは、映画のように美しく、そして最高にワクワクするものだということ。
 すべての原動力は人の想像力にある。それをまさに想像力豊かな子供たちに知ってほしい。そのような思いからこの映画は生まれたのかもしれませんね。親子の絆が深まる類の映画ではありませんが、観る者一人ひとりの心を豊かにしてくれる映画だと思います。

コメント

BadApple!!
BadApple!!
2012年3月2日7:38

敬愛するマーティン・スコセッシ監督の作品ってだけで観に行きたい

マイコロス
2012年3月2日14:47

なら見に行けよオララァン!

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